公開日:2026.10.18
更新日:2026.10.18
履歴書に休職期間は書くべき?バレる理由・例文・面接対策まで完全解説
休職を経験したあと、いざ転職活動を始めようとすると、「履歴書にどう書けばいいのか」「正直に話して不利にならないか」と、不安が次々と湧いてくるものですよね。この記事では、そうした不安をひとつずつ解消できるよう、知識・書き方・面接対策・お金の手続きまで、まるごと整理してお伝えします。読み終えるころには、「これなら前に進めそう」と思っていただけるはずです。
この記事で分かること
- 履歴書に休職歴を書く法的義務は基本的にないこと、そして「書かない」と「隠す」は違うということ
- 「休職理由」×「休職期間」の組み合わせで、自分はどう対応すればいいかが分かる判断マトリクス
- 状況・理由別の履歴書・職務経歴書の具体的な書き方と例文
- 休職期間を自己PRに変える「課題・行動・学び」の3ステップ
- 源泉徴収票など、休職歴が会社に知られる5つのパターンとその対策
- 隠すことで経歴詐称になりかねないケースと、その線引き
- 面接で休職理由を聞かれたときの、マイナスにならない答え方と例文
- 傷病手当金・失業保険を損しないための、退職〜転職のタイミング設計
- 休職歴があっても転職に成功している人の共通点
もくじ
結論|履歴書に休職歴を書く義務は基本的にない
「休職したことを履歴書に書かないと、経歴詐称になるのでは……」——そんなふうに不安を抱えている方は、本当に多くいらっしゃいます。でも、まず安心していただきたいのですが、結論からお伝えすると、休職歴を履歴書に書かなければならないという法的なルールは、基本的にありません。この点をしっかり押さえたうえで、ご自身の状況に合った対応を一緒に考えていきましょう。
休職歴を書かなくても違法ではない理由
履歴書は、あくまで「これまでの職歴の概要」を伝えるための書類です。雇用契約上の在籍期間さえ正確に書いていれば、その期間中に休職があったとしても、それを記載しないこと自体はまったく問題になりません。
ここで知っておいていただきたいのが、「休職」と「空白期間(離職期間)」はまったくの別物だということです。
「休職」と「空白期間」の違い
- 休職中:会社との雇用契約が続いている状態。つまり、その会社に「在籍している」期間です。
- 空白期間:退職してから次の就職までの期間。こちらは職歴の上で「空白」として見えてしまいます。
つまり、休職していたときに在籍していた会社の在籍期間を、そのまま書くだけでよいのです。これは事実をありのままに書いているだけですから、嘘にはあたりません。厚生労働省が定める「労働者の募集及び採用に関する指針」でも、採用選考で取得してよい個人情報の範囲が示されており、病歴などは原則として取得してはいけない情報とされています(参照:厚生労働省「公正な採用選考の基本」 https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm )。
ただし「隠してよい」とは限りません
ここで一点だけ、気をつけておきたいことがあります。「書く義務はない」ということと、「隠してよい」ということは、決してイコールではないのです。
たとえば面接で「この期間はどんなお仕事をされていましたか?」と聞かれたときに、事実と食い違う説明をしてしまうと、それは虚偽にあたってしまう可能性があります。
整理すると、こういうことになります。
| 状況 | 問題になるか |
|---|---|
| 履歴書に休職期間を記載しない | 基本的に問題なし |
| 面接で「休職はありません」と虚偽を述べる | 問題になり得る |
| 入社書類に虚偽の在籍期間を記載する | 経歴詐称に該当する可能性あり |
大切なのは、「開示する義務がない=積極的に隠してよい」と捉えるのではなく、「聞かれたときに、誠実に説明できる準備をしておく」という姿勢です。準備さえできていれば、不安はぐっと小さくなりますよ。

企業が本当に気にしているのは「休職歴」ではなく再発リスク
採用担当者の本音をお伝えすると、多くの場合、気にしているのは「休職したという事実そのもの」ではありません。本当に知りたいのは、「また同じことが起きないだろうか」という、いわゆる再発リスクの部分なのです。
実際、厚生労働省の調査(令和4年度「労働安全衛生調査」)によると、メンタルヘルス上の理由で連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.6%にのぼります(参照:厚生労働省「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r04-46-50b.html )。
つまり、休職を経験した方は決して珍しい存在ではなく、採用担当者にとっても日常的に向き合っているテーマなのです。
採用側が選考で見ている3つのポイント
- 今、働ける状態にあるか(体調・メンタルの回復状況)
- 再発を防ぐ取り組みをしているか(通院や生活習慣の見直しなど)
- 自己理解が進んでいるか(何が原因で、どう変わったかを語れるか)
逆に言えば、この3点をしっかり伝えられれば、休職歴がマイナスに働くとは限りません。「回復して、学んで、前に進んでいる人」という印象を与えられれば、むしろ誠実さや自己管理力のアピールにもつながっていくのです。























まず確認|休職理由×期間別・履歴書への記載判断マトリクス

「自分の場合、いったいどこまで書けばいいんだろう……」——その答えは、休職の理由と期間の組み合わせによって変わってきます。まずは下の表で、ご自身の状況がどこにあてはまるか、確認してみてください。きっと、考えるべきことがぐっとクリアになるはずです。
| 休職理由 | 期間 | 履歴書への記載 | 面接での説明 | 重要度 |
|---|---|---|---|---|
| メンタル不調 | 〜3ヶ月 | 基本不要 | ★★☆ | |
| メンタル不調 | 3ヶ月以上 | 状況による | ★★★ | |
| 身体的病気・ケガ | 〜3ヶ月 | 基本不要 | ★☆☆ | |
| 身体的病気・ケガ | 3ヶ月以上 | 状況による | ★★☆ | |
| 介護・育児 | 問わず | 不要なケース多 | ★☆☆ | |
| 現在も休職中 | 問わず | 要注意 | ★★★ |
メンタル不調 × 短期休職(〜3ヶ月)
3ヶ月未満の休職であれば、履歴書に詳しく書く必要は基本的にありません。在籍期間を正確に書いたうえで、面接で聞かれた場合は「体調不良のため一時休養しておりました。現在は回復し、就業に問題ありません」といった程度の説明で対応できるケースがほとんどです。























メンタル不調 × 長期休職(3ヶ月以上)
期間が長くなるほど、面接での説明準備が大切になってきます。採用担当者が気にしているのは、やはり「また同じことが起きないか」という点。そこで、「何が原因で → どう対処して → 今はどう変わったか」という3点を整理しておくと、面接でも落ち着いて話せるようになります。完治の状況や通院の状況、再発を防ぐための工夫を、自分の言葉で説明できる状態にしておくと安心です。
身体的病気・ケガ × 短期休職
すでに治っているのであれば、「療養のため休職しておりましたが、現在は完治しております」と簡潔にお伝えすれば十分です。業務に影響がない場合、採用担当者もそれ以上深く掘り下げてこないことがほとんどだと言われています。
身体的病気・ケガ × 長期休職
今も通院を続けている場合や、業務に配慮が必要な場合は、入社後のすれ違いを防ぐためにも、働けるかどうかをはっきり伝えておくことが大切です。「週5日のフルタイム勤務が可能です」「重い荷物を運ぶのは難しいですが、デスクワークには支障ありません」といったように、具体的に話せると好印象につながります。























介護・育児による休職
介護や育児による休職は、メンタル不調などと比べて、ネガティブに受け取られにくいケースです。今は働ける状態であることを伝えれば、多くの場合それ以上の説明は不要です。それどころか、「家族のために動ける、責任感のある人だな」と好意的に受け止めてくれる採用担当者も少なくありません。
現在も休職中で転職活動しているケース
いちばん注意していただきたいのが、在籍したまま転職活動をしているケースです。傷病手当金を受け取っている場合、転職先で働き始めると、受給する資格を失ってしまう可能性があります(参照:全国健康保険協会「傷病手当金」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139/ )。退職のタイミング・保険の切り替え・転職を始める時期が複雑に絡み合ってくるので、転職エージェントや社会保険労務士に相談しながら進めることを、強くおすすめします。一人で抱え込まなくて大丈夫です。
履歴書に休職歴を書くべきケース・書かなくてよいケース
「書かなくていいのは分かったけど、自分の場合はどうなんだろう……」と、まだ迷っている方も多いと思います。ここでは、もう少し具体的な判断の目安をお伝えしますね。
書いたほうがよいケース
次のような場合は、履歴書や職務経歴書に休職の事実を書いておくか、少なくとも面接でしっかり説明できるよう準備しておくことをおすすめします。
休職の事実を書いておいたほうがよいケース
- ブランクが6ヶ月以上ある:在籍期間と、実際に働いていた期間に大きなズレが出るため、面接で必ず触れられると考えておきましょう。
- 今も通院・治療を続けている:入社後に働き続けられるかに関わる情報なので、伝えておいたほうがトラブルを防げます。
- 業務上の配慮が必要:残業の制限や特定業務の制限など、会社側が事前に知っておくべき事情がある場合です。
- 面接で確実に聞かれる状況:在籍期間が長いのに昇格や異動がない、担当業務が途中で変わっているなど、説明がないと矛盾が生じてしまうケースです。























あえて書かなくてもよいケース
一方で、次のような状況なら、無理に書く必要はないと言われています。
あえて書かなくてもよいケース
- 休職期間が3ヶ月未満:在籍期間の記載に大きな影響がなく、面接で深掘りされにくいケースです。
- 完治・回復済みで就業に支障がない:今、働くことに問題がなければ、過去の経緯をわざわざ詳しく書く必要はありません。
- 退職後の転職で、職歴上に空白が生まれないケース:在籍期間さえ正確に書いていれば、休職があったかどうかは職歴表の上では見えません。
このように、判断のポイントは「書くことで、読み手(採用担当者)に何を伝えることになるか」です。有利に働く情報は積極的に伝え、不利になりそうな情報はタイミングと伝え方を工夫する——これが、賢い対処法だと言えます。
「病名」を書く必要はある?
メンタル不調で休職していた方からよくいただくのが、「うつ病・適応障害といった病名を、書かなければいけないんですか?」というご質問です。
結論として、病名を履歴書に書く義務はありません。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」でも、応募者の病歴は採用選考時に取得すべきでない個人情報として位置づけられています(参照:厚生労働省「公正な採用選考の基本」 https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm )。
病名の代わりに使える表現
- 「健康上の理由による休養」
- 「体調不良のため療養」
- 「私傷病による休職」
書いたり説明したりする必要がある場面でも、上のような表現で十分です。病名を明かすかどうかは、あくまでご自身の判断にゆだねられています。無理に開示する必要はありませんし、それよりも「現在は回復しており、就業に支障はありません」という今の状態を伝えることのほうが、採用の判断においてははるかに重要なのです。























履歴書の具体的な書き方【理由・状況別例文】
「書き方のルールは分かったけど、実際どう書けばいいの?」——そんな方のために、状況別の例文をまとめました。そのまま参考にしていただけるよう、できるだけ具体的に書いていますので、ご自身の状況に近いものを選んで使ってみてくださいね。
在職中に休職し、その後復職している場合
休職から復職しているケースでは、在籍期間に空白は生まれません。職歴欄には、在籍期間をそのまま書くだけで大丈夫です。
休職後にそのまま退職した場合
休職期間が終わり、復職せずに退職した場合は、退職理由を簡潔に添えておくと、空白期間とのつじつまが合わせやすくなります。
「一身上の都合」(いわゆる自己都合退職)と書いても問題はありませんが、面接で空白期間について聞かれることを考えると、「健康上の理由」と書いておいたほうが、あとの説明がスムーズになります。なお、自己都合退職か会社都合退職かは、退職後の失業保険の受給条件にも関わってきますので、退職理由の表記は一度整理しておくと安心です。
うつ病・適応障害の場合の例文
病名を明記する義務はありません。「体調不良」「健康上の理由」など、ぼかした表現で十分です。























身体的病気の場合の例文
すでに治っているなら、一言添えるだけで採用担当者の不安をやわらげることができます。
制限がある場合は、隠さず伝えるほうが、入社後のミスマッチを防ぐためにも、お互いにとってメリットがあります。
介護・育児休職の場合の例文
介護・育児による休職は、比較的ネガティブに受け取られにくい理由です。今の状況をはっきり示すことが大切です。
職務経歴書でフォローする書き方
基本的な考え方は、「履歴書は簡潔に、職務経歴書で補足する」です。履歴書では事実だけを短く書き、職務経歴書の自己PR欄や備考欄で前向きな説明を添える——この流れが、採用担当者にとっても読みやすく、好印象につながります。























休職期間を「マイナス」で終わらせない自己PR転換メソッド

「休職していた期間、何もしていなかったわけじゃない。でも、それをどう伝えればいいのか分からない」——そう感じている方は、本当に多いと思います。実は、休職期間は伝え方しだいで、自己PRが大きく変わるんです。ここでは、採用担当者に「この人なら大丈夫だ」と思ってもらえる、伝え方のフレームワークをご紹介します。
「課題・行動・学び」の3ステップで整理する
自己PRに行き詰まったときは、次の3つの問いに答えるだけで、言葉がだんだん整理されていきます。
| ステップ | 問い | 例 |
|---|---|---|
| ①課題 | 何がきっかけで休職に至ったか | 業務過多・環境への適応の難しさなど |
| ②行動 | 休職中に何をしたか | 通院・生活改善・学習・自己分析など |
| ③学び | 今の自分はどう変わったか | セルフケアの習慣・仕事との向き合い方の変化など |
このフレームワークは、就職・転職支援の場面でもよく使われる「STAR法」の考え方に近いもので、採用担当者にとっても聞きやすい構成です。「あのときは、ただ休んでいただけ」ではなく、「回復に向けて、自分から動いていた期間」として捉え直すことで、自己肯定感の回復にもつながっていきます。























休職期間中の経験を評価につなげる例
「休職中、何もしていなかった」という方は、実はほとんどいません。意識していなかっただけで、評価につながる経験が必ずあるものです。
休職期間中の経験が評価につながる例
- 生活改善:睡眠・食事・運動のリズムを整えた → 自己管理能力・継続力のアピールに
- 資格学習:業務に関連する資格を取った、オンライン学習を続けた → 向上心・再起への意欲に
- 自己分析:キャリアの振り返りや、転職の方向性を整理した → 目的意識の明確さに
- 働き方の見直し:自分の限界値や得意・不得意を把握した → チームへの貢献の仕方を再設計できることに
完璧な「成果」がなくても大丈夫です。「回復しながら、次に向けて準備していた」という姿勢そのものが、採用担当者には誠実さと前向きさとして、ちゃんと伝わります。
NG自己PRとOK自己PRの違い
同じ経験でも、伝え方しだいで、受け手の印象は大きく変わります。
→ 原因を外に求めていて、再発を防ぐ意識が見えてきません。採用担当者には「また同じことが起きそうだな」と映りやすい表現です。
→ 原因を自分でしっかり分析し、具体的な対処と今の状態を示せています。採用担当者が知りたい「再発リスクの低さ」に、まっすぐ応える内容です。























休職歴はバレる?企業に知られる5つのパターン

「履歴書に書かなければ、分からないはず」と思っていても、実際には思わぬところから休職歴が知られてしまうことがあります。不安をあおりたいわけではありません。むしろ、現実的なリスクを先に知っておくことで、落ち着いて対策が取れるようになります。主なパターンを5つ整理しましたので、一緒に見ていきましょう。
①源泉徴収票の金額差
もっとも典型的な発覚ルートが、入社時に提出する源泉徴収票です。休職中は給与が減ったり無給になったりすることが多く、在籍期間と給与総額が合わない場合に、経理や人事の担当者が「この年、収入が少ないですね」と気づくことがあります。
たとえば、フルタイムで12ヶ月在籍していたにもかかわらず、年収が通常の半分以下であれば、「何か事情があったのかな」と推測されやすいと言われています。なお、傷病手当金は非課税なので源泉徴収票には反映されませんが、給与額の落ち込みは記録に残ってしまいます(参照:国税庁「源泉徴収票の見方」 https://www.nta.go.jp )。























②住民税の金額
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、休職で収入が減った年の翌年は、住民税が大きく下がります。転職先が給与から住民税を特別徴収(天引き)する際に、前年の所得とのズレに気づく担当者もいます。
これ単体で「休職していましたか?」と問われることは多くないと言われていますが、ほかの情報と重なったときに気づかれる可能性は、ゼロではありません。
③面接での矛盾・深掘り
採用担当者がもっともよく気づくのは、実は面接中の会話のズレです。「この期間は何をされていましたか?」という質問に対して、準備が足りないと、答えがあいまいになったり、前後の説明と矛盾が生じたりしてしまいます。
面接官は、書類だけでなく会話からも情報を読み取るプロです。空白期間についての説明が自然に一貫していないと、そこから深掘りされることは十分にあり得ます。だからこそ、事前の整理が効いてくるのです。
④入社後の通院・再発
入社後も通院が続いていたり、体調不良で早退や欠勤が増えたりした場合、「もしかして休職歴があったのでは」と、あとから気づかれるケースもあります。
特に、時短勤務や残業免除といった配慮を後から申し出る場合、「なぜ採用時に言ってくれなかったのか」というトラブルに発展してしまうこともあります。配慮が必要な場合は、入社前に伝えておくほうが、結局はお互いのためになるのです。























⑤SNS・前職経由などの例外ケース
まれなケースではありますが、SNSに休職中の投稿が残っていたり、前職の同僚・上司と転職先がつながっていたりして、意図せず情報が伝わってしまうこともゼロではありません。
また、リファレンスチェック(前職への照会)やバックグラウンドチェック(身元調査)を実施する企業では、在籍期間中の勤務状況について確認が行われることもあります。特に外資系企業や一部の大手企業では、こうしたリファレンスチェックの導入が広がっていると言われています。とはいえ、これらは応募者の同意を得たうえで行われるのが一般的ですので、必要以上に身構えなくても大丈夫です。
これらのパターンに共通しているのは、「隠そうとしたこと自体が、リスクになってしまう」という点です。あとから発覚したときの印象は、最初から正直に話していたときよりも、大きなマイナスになりやすいと言われています。だからこそ、「どこまで伝えるか」よりも「どう伝えるか」に意識を向けることが、転職成功への近道なのです。
休職歴を隠すリスク|経歴詐称になるケースとは
「黙っていたら、経歴詐称になるの?」という不安を抱えている方は、少なくありません。結論からお伝えすると、休職歴を書かないこと自体は、ただちに経歴詐称になるわけではありません。ただし、「隠す」という行為が一線を越えると、法的・労務的なリスクが生じることも事実です。過度に怖がる必要はありませんので、ここで正しく理解しておきましょう。
どこからが経歴詐称になる?
経歴詐称として問題になるのは、「書かなかった」ことではなく、「虚偽の説明をした」ことです。この違いは、とても重要です。
| 行為 | 経歴詐称に該当するか |
|---|---|
| 履歴書に休職期間を記載しない | 基本的に該当しない |
| 在籍期間を正確に記載する | 問題なし |
| 「休職はありません」と口頭で虚偽を述べる | 該当する可能性あり |
| 退職日・入社日を意図的に改ざんする | 該当する可能性が高い |
ポイントは「故意性」です。事実と異なることを「意図的に」伝えた場合に、経歴詐称として扱われるリスクが高まります。厚生労働省の「労働契約法」第3条でも、労働契約は「合意の原則」に基づくものとされており、虚偽の申告による契約は、あとで問題になり得ます(参照:厚生労働省「労働契約法の概要」 https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/tp0318-1.html )。
懲戒処分になる可能性があるケース
次のような状況では、入社後に発覚した場合、懲戒処分(戒告・降格・最悪の場合は解雇)に発展することがあると言われています。
懲戒処分に発展する可能性があるケース
- 採用面接で「休職したことはない」と明確に虚偽を述べた場合:故意の虚偽申告として、労働契約の信義則違反に問われることがあります。
- 業務を行うのが難しい状態であることを、意図的に隠して入社した場合:特に、就業制限が必要な疾患を抱えながら「健康上の問題は一切ない」と申告したケースです。
- 書類上の在籍期間・退職日を意図的に改ざんした場合:これは経歴詐称のなかでも、もっとも問題視されやすいケースです。
ただし、「言わなかった」だけで懲戒処分になるケースは、実際には多くないとも言われており、発覚の経緯や企業の判断によるところが大きいのが実情です。ですから、必要以上に身構えなくても大丈夫です。























実際には「誠実な説明」がいちばん安全
採用担当者は、完璧な経歴を持つ人材を求めているわけではありません。むしろ、現場で多くの面接を重ねてきたエージェントの実感としても、「一貫性があって、誠実に話してくれる人」のほうが、最終的に信頼されやすいと言われています。
面接官が本当に見ているのは「休職の有無」ではなく、「この人は自分の状況を正確に把握していて、入社後も誠実に動いてくれるか」という点です。
伝えるべき情報を整理して、自分の言葉で話せる準備さえできていれば、休職歴があっても選考を突破している方は、たくさんいらっしゃいます。「どこまで隠すか」ではなく「どう誠実に伝えるか」に意識を切り替えること——それが、結果的にもっともリスクが低く、ご自身にとっても楽な道なのです。























面接で休職理由を聞かれた時の答え方
「面接で休職のことを聞かれたら、どう答えればいいんだろう」——これは、転職活動中の方からもっとも多く寄せられるご質問のひとつです。正直なところ、準備なしで臨むと、言葉に詰まりやすいテーマです。でも、面接官が何を知りたいのかさえ理解できれば、答え方は自然と見えてきますので、安心してください。
面接官が休職理由を聞く本当の理由
面接官は、休職の「事実」そのものよりも、次の3点を確認したいと言われています。
面接官が確認したい3つのポイント
- 再発リスク:同じ理由で、再び長期離脱になる可能性はないか
- 勤務継続可能性:入社後、安定して働き続けられる状態か
- 配慮の必要性:業務内容や労働時間に、制限が必要か
逆に言えば、この3点にきちんと答えられれば、休職歴そのものは大きなマイナスになりにくいのです。























好印象につながる回答の基本構成
回答は、次の3ステップで組み立てるのが基本です。この順番で話すと、採用担当者が知りたい情報を、過不足なく伝えることができます。1〜2分程度にまとめるのが理想です。
うつ病・適応障害の回答例
詳しい病名や職場の状況は話しすぎず、「働き方を見直した」「自己管理の仕組みができた」という方向に着地させると、好印象につながります。
身体疾患の回答例
完治済みであれば、端的に伝えるだけで十分です。業務に支障がない旨を一言添えることで、採用担当者の不安をやわらげることができます。
介護・育児の回答例
今の状況が落ち着いていることをはっきり示したうえで、経験から得た気づきに軽く触れると、前向きな印象を与えられます。
面接で絶対に避けたいNG回答
どれだけ準備していても、次のパターンに陥ると、一気に印象が下がってしまいます。
面接で避けたいNG回答
- 前職批判:「上司が原因で……」「会社の体制が問題で……」→ 原因を外に求める印象になり、再発リスクが高く見られてしまいます。
- 根拠なき断言:「もう絶対大丈夫です!」→ 具体的な根拠がないと、かえって不安を与えてしまうことがあります。
- 話が長すぎる:5分以上かけて経緯を細かく説明する → 聞かれていない情報まで話すと、整理できていない印象になってしまいます。























面接は、「完璧な回答」を求められる場ではありません。一貫性があって、自分の言葉で話せているかどうか——そこが、採用担当者の信頼につながります。回答例を丸暗記するよりも、3ステップの流れを自分の状況にあてはめて練習しておくこと。それが、本番での落ち着きにつながりますよ。
休職中に転職活動する場合の注意点【傷病手当金・失業保険】

「休職中でも転職活動していいの?」「傷病手当金をもらいながら転職できるの?」——お金と手続きの不安は、転職活動を始める前に、ぜひ整理しておきたいテーマです。知らずに動いてしまうと、本来もらえるはずだったお金を損してしまうこともあるので、ここでしっかり確認しておきましょう。
傷病手当金を受給しながら転職活動できる?
傷病手当金は、「業務外の病気・ケガで働けない状態にある」ことが受給の条件です(参照:全国健康保険協会「傷病手当金」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139/ )。
ここで注意していただきたいのが、「働けない状態」と「転職活動」の整合性です。
転職活動と傷病手当金の関係
- 転職活動(書類作成・面接など)を行うこと自体が、ただちに受給停止になるわけではないと言われています。
- ただし、「就労可能な状態にある」と判断された場合は、受給資格を失うリスクがあります。
- 特に、内定を受けて働き始めた時点で、受給は原則として終了になります。
「転職活動はしてもいいけれど、働ける状態かどうかの判断は、医師の診断に基づく」というのが実態です。主治医と相談しながら進めることを、強くおすすめします。























退職タイミングで損するケース
退職のタイミングを誤ると、受け取れるはずだった傷病手当金を失ってしまうことがあります。特に注意したいのが、次のケースです。
退職タイミングで損をしやすいケース
-
- 有給消化中に退職した場合:有給休暇を取得している間は「出勤扱い」となり、その期間は傷病手当金が支給されません。有給を先に消化してから傷病手当金に切り替えるか、順序を慎重に設計する必要があります。
- 退職後も受給を継続したい場合:資格を失ったあとも引き続き受給するには、①退職日の前日までに継続して1年以上の被保険者期間があること、②退職時に傷病手当金を受給中、またはその条件を満たしていること、が必要です(参照:全国健康保険協会 同上)。
- 退職日に出勤してしまった場合:退職日に出勤すると、その日の傷病手当金が不支給となり、退職後の継続受給条件にも影響する場合があります。
失業保険との関係
「退職したら失業保険をもらえばいい」と考える方も多いのですが、傷病手当金と失業保険は、同時に受給することはできません。また、体調不良で「すぐに働ける状態にない」場合は、失業保険の受給条件(就職の意思と能力があること)を満たさない可能性があります。あわせて、退職後は社会保険(健康保険・年金)の切り替え手続きも必要になりますので、こちらも忘れずに進めておきましょう。
そのような場合に有効なのが、受給期間の延長申請です。退職後30日を過ぎた日から1ヶ月以内に手続きを行えば、最大3年間、受給開始を先延ばしにすることができます(参照:厚生労働省「雇用保険の基本手当について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html )。
休職〜退職〜転職のロードマップ
「いつ、何をすべきか」を時系列で整理すると、次のような流れになります。
| フェーズ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 休職中 | 療養・傷病手当金の申請 | 転職活動は体調と相談しながら |
| 退職前 | 有給消化・退職日の調整 | 退職日に出勤しないよう注意 |
| 退職直後 | 社会保険(健康保険)の切り替え・失業保険の延長申請 | 30日経過後1ヶ月以内に延長手続き |
| 転職活動本格化 | 書類作成・面接 | 内定後の就業開始日を慎重に設定 |
| 内定・就業開始 | 傷病手当金の受給終了 | 入社日=受給終了日になる |























お金と手続きの話は、一見すると複雑に見えますよね。でも、「退職日と就業開始日の設計」さえ丁寧に行えば、多くのリスクは回避できます。焦らず、ご自身のペースで進めていきましょう。
休職歴があっても転職成功する人の共通点
「休職していたら、転職は難しいのでは……」と感じている方に、はっきりお伝えしたいことがあります。休職歴があっても、転職に成功している方は、実際にたくさんいらっしゃいます。大切なのは休職の「有無」ではなく、その後の自分を、どう見せられるか。転職成功者に共通するポイントを、3つ整理しました。
過去より「現在」を説明できている
転職がうまくいく方の多くは、「なぜ休職したか」よりも「今の自分はどういう状態か」を、はっきりと言葉にできています。
「現在」を説明できる人の特徴
- 回復状況を具体的に説明できる:「通院を継続しており、主治医からも就業可能との確認をとっています」など、根拠のある言葉で話せます。
- 働く準備が整っていることを示せる:「フルタイム勤務に問題はありません」「業務上の制限はありません」と、採用担当者が知りたい情報を、先回りして伝えられます。
過去の経緯を長々と話すよりも、「今の自分は大丈夫だ」という現状を端的に伝えること。そのほうが、面接官の不安を取り除くうえで、何倍も効果的なのです。























再発防止策を具体化している
「また同じことになるかも」という懸念を払拭できるかどうか——ここが、採用判断の大きな分かれ道になります。転職成功者は、再発防止策を、自分の言葉で具体的に話せるのが特徴です。
再発防止策の具体例
- 働き方の見直し:「業務量が増えたときに、上長へ早めに相談する習慣をつけました」
- 環境選び:「残業が少なく、裁量をもって働ける環境を優先して選んでいます」
- 生活改善:「睡眠・運動のルーティンを整え、6ヶ月以上安定して続けられています」
「対策があります」という抽象的な言葉よりも、「具体的に〇〇をしています」という一言のほうが、採用担当者には圧倒的に響きます。
自分に合う職場選びをしている
転職後にふたたび体調を崩してしまう方に共通しているのが、「とにかく早く決めなければ」という焦りから、自分に合わない環境に飛び込んでしまうケースです。転職成功者は、職場選びの軸を、しっかり持っています。
休職歴のある人が意識したい職場選びの視点
- 高ストレス環境を意識的に避ける:長時間残業が常態化している、離職率が高い、評価基準が不透明——こうした企業は、慎重に検討しましょう。
- 配慮文化のある企業を選ぶ:健康経営優良法人の認定を受けている企業(経済産業省・日本健康会議が認定)や、産業医・相談窓口が整備されている企業は、配慮体制が整いやすいと言われています(参照:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html )。
- 面接で職場環境を積極的に確認する:「繁忙期の残業時間はどのくらいですか」「困ったときに相談できる体制はありますか」と、自分から聞けること。それが、ミスマッチ防止につながります。























休職歴は、乗り越えてきた経験の証でもあります。「自分を知っている」「対策がある」「合う環境を選べる」——この3つがそろった人は、休職歴があっても、採用担当者に信頼される存在です。焦らず、ご自身のペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。
まとめ|休職歴は「隠す」より「整理して伝える」が正解
ここまで読んでくださった方は、きっと転職活動への不安を、少しは手放せたのではないでしょうか。最後に、この記事でお伝えしてきた要点を、もう一度整理しておきますね。
この記事のポイント
- 休職歴を履歴書に記載する法的義務は、基本的にない。ただし「書かない=隠してよい」ではなく、「聞かれたときに誠実に答えられる準備」が大切です。
- 休職理由と期間の組み合わせによって、記載すべきか・面接での説明が必要かが変わる。まずは自分のケースをマトリクスで確認することが、第一歩です。
- 採用担当者が本当に気にしているのは「再発リスク」。現在の状態・対策・自己理解の3点を伝えられれば、休職歴はマイナスになりにくいものです。
- 「課題・行動・学び」の3ステップで整理すれば、休職期間は自己PRに転換できます。
- 傷病手当金・失業保険の受給と転職活動のタイミング設計を誤ると、損をしてしまう。退職日と就業開始日は、慎重に決めましょう。
休職は「キャリアの終わり」ではありません
休職を経験したことで、自分の限界値を知り、働き方を見直し、体調管理の習慣を身につけた——そういった経験は、実は多くの採用担当者が「成熟した自己理解」として、前向きに評価できるものなのです。
厚生労働省の令和4年度「労働安全衛生調査」によれば、メンタルヘルス上の理由で連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所は、全体の10.6%にのぼります(参照:厚生労働省「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r04-46-50b.html )。
休職は、決して特別なことではなく、多くの職場で日常的に起きているテーマなのです。























次の一歩は、この3つから始めてみてください
「分かった、でも、何から始めればいいの?」という方に向けて、具体的なアクションをお伝えします。
最初に取り組みたい3つのアクション
- 履歴書の在籍期間を正確に整理する:事実の記載が、すべての基本です。在籍期間・退職理由を、一度書き出してみましょう。
- 職務経歴書の補足欄を書いてみる:「課題・行動・学び」の3ステップで、休職期間を前向きに言葉にしてみてください。書いてみると、自分でも気づいていなかった強みが、見えてくることがあります。
- 面接の回答を声に出して練習する:「①事実 → ②対策 → ③今は大丈夫」の流れで、2分以内にまとめる練習を、1〜2回やってみましょう。頭の中で考えるだけよりも、本番が格段に楽になります。
一人で抱え込まず、転職エージェントや社会保険労務士といった専門家に相談しながら進めること。これも、大切な選択肢のひとつです。休職歴があるからこそ「自分に合う環境」を真剣に選べる——その視点を持って、次のステップへ進んでいきましょう。
























