転職・就職ノウハウ

公開日:2026.08.03

更新日:2026.08.03

転職の希望年収はどう答える?2026年最新の「答え方」と年収アップを勝ち取る交渉術

この記事で分かること

  • 企業が「希望年収」を聞く本当の理由と、面接官の裏側にある意図
  • 2026年の転職市場における賃上げ動向と、給与条件への活かし方
  • 額面・手取りの違いや源泉徴収票の正しい読み方など、提示額の基本ルール
  • 面接・履歴書で今すぐ使えるテンプレートと例文
  • 採用担当者の社内稟議プロセスと、交渉が通る人・通らない人の差
  • 市場価値から逆算して希望年収を決める4ステップのワークフロー
  • 「予算オーバー」「未経験ですよね?」など、面接官の切り返しへの対処法
  • 交渉のベストタイミングと、転職エージェントを「答え合わせ」に使う方法
  • 状況別(未経験転職・現年収が低い・言い直したい)の最適な答え方
  • やってはいけないNG回答5選と、その理由

 

序文:2026年の転職市場で「希望年収」が持つ本当の意味

「希望年収っていくら答えればいいんだろう……。低すぎても損だし、高すぎたら落とされそうで怖い」

そんな不安を感じているのは、あなただけではありません。転職活動を始めたばかりの方や、初めて面接を受ける方にとって、給与条件に関する質問はとりわけハードルが高く感じられるものです。

でも、安心してください。この質問には、企業側のはっきりとした「聞く理由」があります。その理由を先に理解しておくだけで、答え方がぐっと楽になりますよ。

そしてもうひとつ、まず知っておいてほしい大切なことがあります。希望年収を答えることは、「交渉」ではなく「自分の市場価値の自己証明」です。

「少し高めに言って値切られる駆け引き」でも、「いくらでも構いませんという謙虚さ」でもありません。あなたが持つスキル・実績・再現性を、市場相場というものさしと照らし合わせながら論理的に提示する行為——それが、希望年収の回答の本質です。この前提を持って読み進めてください。

第1章:【基本】希望年収を答える前の必須マナーと計算

企業が希望年収を聞く2つの理由

① 採用予算内かどうかを確認するため

企業はポジションごとに「年収レンジ」という採用予算枠を設定しています。たとえば「このポジションは400〜550万円の人を採りたい」と決まっている場合、そこから大きく外れた提示額を示された時点で、内定の可能性が実質ゼロになることもあります。面接官にとってこの質問は、採用フローを無駄に進めないための「スクリーニング」でもあるのです。

② あなたの「市場価値の自己認識」を見ている

希望年収は同時に、「自分の価値をどう評価しているか」を映す鏡でもあります。スキルや経験に対して極端に低い金額を提示すると、「自信がない人」「自己評価が低い人」と判断されてしまうリスクがあります。一方、根拠なく高すぎる金額を言えば、市場感覚のズレを見透かされます。企業はあなたの「論理的な自己評価力」も、この質問でしっかりと確認しているのです。

2026年の転職市場は「賃上げ×二極化」が前提

希望年収を考えるうえで、いまの市場環境を把握しておくことはとても大切です。知らないまま転職活動を進めると、自分にとって不利な給与条件を受け入れてしまうことにもなりかねません。

まず、賃上げの流れについてです。連合の最終集計によると、2025年春闘の賃上げ率(ベースアップ+定昇)の加重平均は5.25%で、1991年以来34年ぶりの高水準となり、2年連続で5%を超えました(連合「2025年春季生活闘争最終集計」https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/)。さらに厚生労働省の調査では、民間主要企業の平均賃上げ率は5.52%に達しており、前年をも上回っています(厚生労働省「2025年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/10/shuntou_01.html)。

こうした賃上げの流れは2026年も継続する見込みで、連合は「2026春季生活闘争方針」において「賃上げ分3%以上+定昇相当分込みで5%以上」を目安として掲げています(第一生命経済研究所「2026年春季労使交渉(春闘)の注目ポイント」https://www.dlri.co.jp/report/ld/560678.html)。

この流れ、ぜひ活かしてほしいんですよね。「今年も5%賃上げが続いている」って社会的な背景があるのに、転職の希望年収だけ現状維持でいいんですか?って話で。自分で低い数字を出してしまうのが、一番もったいないパターンだと思っています

一方で、この追い風が全員に均等に当たるわけではないことも知っておく必要があります。2026年の転職市場では、DX・AI関連のスキル人材への需要が高騰する一方で、汎用的なスキルの人材は選別対象となる「二極化」が加速する見込みとされています(パソナ「転職市場レポート」https://www.pasona.co.jp/clients/service/column/career/2025furikaeri_2026yosou/)。

また、マイナビの「転職動向調査2026年版(2025年実績)」によると、転職後の平均年収は533.7万円で、転職前より19.2万円増加しています(マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版」https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260323_108572/)。つまり、「低めに言っておけば安全」という考え方は今の市場では通用しません。給与条件を控えめに伝えることは、自分の市場価値を自分自身で引き下げる行為だと認識しておきましょう。

「謙虚に低めで言う」のは美徳じゃなくて、実は損なんです。特に第二新卒や初転職の方は、自分のスキルをしっかり言語化して、相場感を持ったうえで提示額を伝えることが大事。次の章から、そのやり方を一緒に見ていきましょう!

必ず「額面(総支給)」で答える理由

まず大前提として、希望年収は必ず額面(税・社会保険料を差し引く前の総支給額)で伝えましょう。手取り金額で答えるのは避けてください。

企業が給与計算をする際に使う数字は「総支給額」だからです。手取り額は住民税や社会保険料の額によって個人差があり、採用担当者にとって比較・判断がしにくい数字になってしまいます。

額面での回答例
✅ 正しい例:「希望年収は450万円(額面)です」
❌ NGな例:「手取りで350万円ほどいただけると……」
手取りで答える方、意外と多いんですよ。採用担当者からすると、一瞬「あ、この人、基本がわかっていないのかな」と感じてしまうことがあります。小さなことに見えますが、最初の印象はとても大切なので、ここは必ず押さえておいてほしいです

現年収の正しい計算方法(源泉徴収票の見方)

希望年収を考える前に、まず「自分の現年収がいくらか」を正確に把握しておくことが重要です。基準となるのは、毎年1月頃に会社から受け取る源泉徴収票の「支払金額」欄の数字です。

項目 含める?
基本給(月給×12) ✅ 含める
賞与・ボーナス ✅ 含める
残業代(固定残業代) ✅ 含める
変動残業代 ⚠️ 「みなし残業なし」の場合は要注意
通勤交通費(非課税分) ❌ 含めない
現物支給・社宅補助 ❌ 原則含めない

交通費は「支払金額」欄に含まれていないことが多いため、源泉徴収票の数字をそのまま現年収として使うのが基本です。なお、残業代が月ごとに大きく変動する場合は、直近12ヶ月の給与明細で平均をとる方法が正確だと言われています。

印象を良くする基本フォーマット(結論→根拠→柔軟性)

答え方に迷ったときは、この3ステップの型を使いましょう。

基本テンプレート
「希望年収は○○○万円を希望しております。現職での年収が○○○万円で、今回スキルアップを目的とした転職ですので、○○程度のアップを想定しております。ただし、御社の業務内容や福利厚生・成長環境なども総合的に考慮したいと思っておりますので、ご相談の余地はございます。」

ポイントは3つ

  • 結論を先に言う:「○○万円を希望します」と数字をまず明示する
  • 根拠を添える:現年収や市場相場をもとに、なぜその金額なのかを簡潔に説明する
  • 柔軟性を示す:「ご相談の余地はございます」の一言で、交渉の余地を自然に残す
この3ステップ、シンプルだけど本当によく効くんです。特に最後の「ご相談の余地はございます」は魔法の言葉で、強気でも弱気でもなく、誠実な印象を与えることができます。初めての転職の方は、この型をそのまま丸ごと使ってみてください!

第2章:【裏事情】採用担当者の「裏の稟議プロセス」を知る

「希望年収をしっかり伝えたのに、なぜか通らなかった……」という経験をお持ちの方はいませんか?

実は、給与条件が通るかどうかは、あなたの伝え方だけでなく、企業内部の稟議フローにも大きく左右されます。この「裏側の仕組み」を知っておくことで、交渉の成功確率がぐんと上がります。

あなたの希望年収はこう決まる(社内フロー)

面接で提示額を伝えた後、その数字は社内でおおむね次のような流れで処理されていると言われています。

希望年収が社内で処理される流れ
あなた(面接で希望年収を伝える)

面接官(現場社員)

人事担当者 ←【ここが最大のボトルネック】

部門長・マネージャー

役員・決裁者

承認 → オファー提示

最も重要なポイントは、人事担当者が「社内を説得するための材料」を必要としているという点です。役員や部門長に稟議を通すために、人事は「なぜこの人にこの年収を提示するのか」を説明しなければなりません。つまり、あなたが人事担当者に「説明しやすい根拠」をきちんと渡せるかどうかが、交渉の勝敗を大きく左右するのです。

現場(部門長)はスキルを評価しますが、最終的な給与条件を決めるのは「人事と役員」です。この構造を理解しているかどうかで、交渉の戦略がまったく変わってきます。

面接官に刺さる答えと、人事が稟議を通せる答えって、実は微妙に違うんですよ。面接官に「いい人だな」と思ってもらうだけじゃなく、人事が上司に説明できる”材料”を渡してあげる意識が大切です

なぜ部門長ではなく「人事」に交渉すべきなのか

年収交渉と聞くと、「現場の上司=部門長に頑張ってもらう」イメージを持つ方もいるかもしれません。しかし実際のところ、部門長は自社の給与テーブルの詳細を把握していないケースが少なくないと言われています。

現場のマネージャーは「この人を採りたい」という意欲があっても、「等級○の上限は○○万円まで」「例外承認には役員決裁が必要」といった人事制度の細部まで知らないことがほとんどです。

一方で、人事担当者は給与テーブルと決裁フローの両方を知っているキーパーソンです。人事が「この候補者には出す価値がある」と判断し、稟議書に落とし込んでくれれば、あとは社内が動いてくれます。だからこそ、面接や書類で伝える提示額の根拠は、「人事が上司に説明できる言葉」で組み立てることがとても重要なのです。

交渉が通る人・通らない人の違い

同じ「希望年収450万円」を伝えても、通る人と通らない人には明確な差があります。

❌ 交渉が通らない人の特徴

  • 「前職がそのくらいだったので」と感覚だけで伝えてしまう
  • 提示額の根拠が現年収だけになっている
  • 「なんとかなりませんか?」と曖昧にお願いするだけ

✅ 交渉が通る人の特徴

  • 数値実績がある:「施策Aを導入し、コストを年間○万円削減した」
  • 再現性がある:「御社でも同様のアプローチで貢献できます」
  • 市場比較ができる:「同職種の相場(厚生労働省『賃金構造基本統計調査』)と照らしても妥当な水準です」

この3点が揃うと、人事担当者は社内でこう説明できるようになります。「この候補者は○○の実績があり、市場相場とも合致した金額なので、特例ではなく適正な提示です」——これが、稟議を通す言葉です。

正直に言うと、年収交渉って”かわいそうだから上げてあげよう”では絶対に動かないんです。人事が役員に説明できる、論理的な根拠を一緒に作ってあげる——これが交渉を通す本質だと思っています。第二新卒の方でも、実績をしっかり言語化できれば十分に戦えますよ

第3章:【実践】ケース別・希望年収の模範的な「答え方」例文

「答え方の型はわかった。でも、実際に何て言えばいいの?」そう感じた方のために、このセクションではそのままコピーして使える例文を用意しました。面接でも書類でも、ぜひ今日から活用してみてください。

面接での回答例(ケース別3パターン)

パターン1:スキルに自信がある場合(年収アップ狙い)

現年収が350万円で、10〜15%アップを狙う場合の例です。

回答例:現年収350万円 → 380〜400万円を希望するケース
「希望年収は380〜400万円を希望しております。現職の年収は350万円ですが、今回の転職では業務の幅を広げてスキルアップを図りたいと考えているため、10〜15%程度のアップを想定しています。現職での実績と、御社への貢献可能性に基づいた金額です。待遇面についてはご相談の余地がございます。」

ポイントは「幅を持たせる」ことです。ピンポイントで「380万円です」と言い切るよりも、「380〜400万円」と範囲で伝えることで、企業側も予算内で調整しやすくなります。

パターン2:未経験職種への挑戦(年収ダウン許容)

回答例:未経験職種へ挑戦するケース
「職種の特性を踏まえ、早期のキャッチアップを前提としたうえで、生活維持ラインである○○万円以上を希望しております。ただし、前職で培った△△スキルは即戦力として転用できると考えており、習熟とともに貢献範囲を広げていきたいと思っています。給与条件については、成長に応じた見直しをご相談できれば幸いです。」

パターン3:選考通過を最優先にしたい場合

回答例:選考通過を優先するケース
「前職並みの○○万円が目安ですが、御社の評価制度や職務内容に基づき、柔軟に検討させていただければと思っております。まずは御社でしっかり成果を出すことを優先したいと考えています。」
面接で一番多いミスって、数字を言った後に黙ってしまうことなんですよね。根拠と柔軟性をセットで言うだけで、ぐっと説得力が増します。数字を言うのが怖い方も、まずはこの型を丸暗記してみてください!

履歴書・職務経歴書での書き方

書類の待遇面の記入欄は、曖昧にしすぎると「意欲が低い」と受け取られることがあります。かといって、交渉の余地をなくすような断定的な書き方も避けたいところです。

記載例 問題点・ポイント
❌ NG例①「特になし」「貴社規定に準じます」 自己評価ができていない印象を与える
❌ NG例②「手取り30万円以上」 額面ベースで書くのが基本ルール
❌ NG例③「600万円以上希望」(根拠なし) 現年収との乖離が大きいと選考落ちのリスクが高まる
✅ 良い例「380〜400万円を希望(応相談)」 数字+柔軟性のセットで好印象

「応相談」の3文字は必ず添えましょう。数字だけを書くと交渉の扉を自分で閉めてしまうことになります。

年収アップを狙う人向けの「キラーフレーズ」

単に「高い年収を希望します」と伝えるだけでは説得力がありません。実績やスキルを絡めた伝え方にすることで、企業側が「なるほど、それなら払う価値がある」と感じやすくなります。

キラーフレーズ例
「前職では○○の業務において、施策導入後に売上を前年比120%に改善した経験があります。このスキルを御社でも活かせると考え、市場相場も踏まえて450万円をご提示させていただきました。」「○○の資格・スキルを活かして即戦力として貢献できる自信があり、同職種の相場水準(※)を参考に420〜450万円を希望しております。」※職種別の年収相場については、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で確認できます。

年収アップを狙う方ほど、根拠なく希望金額を言ってしまいがちです。でも実績を絡めた瞬間、交渉の空気がガラッと変わるんですよ。実際に私が担当した方が、この方法で内定後に50万円アップを実現したこともあります。ぜひ試してみてください

第4章:【二極化時代の切り返し】面接官の深掘りに対するシミュレーション

「希望年収を伝えた瞬間、面接官に切り返されたらどうしよう……」という不安は、とても自然な気持ちです。ここでは実際の面接で起きやすい3つのシーンを、会話形式でまるごとシミュレーションします。声に出して練習しておくと、本番でぐっと落ち着いて対応できるようになりますよ。

ケース①「予算オーバーです」と言われた場合

会話例:予算オーバーと言われた場合
面接官:「450万円とのことですが、正直、当社の想定レンジを少し超えているんですよね……」
あなた:「ご共有いただきありがとうございます。差し支えなければ、御社の想定レンジをお教えいただけますか?」
面接官:「420万円が上限になりそうでして……」
あなた:「承知しました。420万円という数字を踏まえたうえで申し上げると、私はこれまで○○の業務で年間○万円規模のコスト削減に貢献してきました。まずは420万円でスタートすることは可能です。ただ、成果に応じた昇給タイミングや、インセンティブを含めた総額での給与条件の検討は可能でしょうか?固定給にこだわるわけではなく、御社と長期的に成長できる条件を一緒に考えていきたいと思っています。」

ポイントは2つです。第一に、相手のレンジを引き出してから動くこと。第二に、「固定給の交渉」から「総額報酬(インセンティブ・賞与含む)の交渉」に視点を広げることです。予算の制約がある企業でも、この一言で交渉の余地が生まれることがあります。

NG対応:「じゃあ下げます」と即座に折れてしまうのは最悪のパターンです。相手に「交渉できる人材ではない」という印象を与えてしまいます。

「予算オーバー」と言われると、焦ってすぐに下げてしまう方が多いんですよ。でも、実はそこで慌てる必要はまったくなくて。相手のレンジをまず聞いてから、自分の実績を絡めて”条件付きOK”の形に持ち込むのが正解です。インセンティブ込みの総額で考えると、意外と着地点が見つかることもよくあります

ケース②「未経験ですよね?」と指摘された場合

会話例:未経験を指摘された場合
面接官:「正直、この職種は未経験ですよね。420万円という希望は少し高いのでは?」
あなた:「おっしゃる通り、この職種は今回が初挑戦です。ただ、前職の○○業務では△△スキルを3年間培っており、御社の□□業務に直接転用できると考えています。職種は未経験ですが、前職で培ったスキルは即戦力として転用可能です。厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』でも、この職種の平均年収は○○万円台とされており、そのため、業界平均より一歩踏み込んだ設定をさせていただきました。」

「未経験だから安くして当然」という前提を崩すことが、このケースの核心です。スキルの転用性+市場データのセットで、論理的に反論しましょう。感情的にならず、データをもとに落ち着いて話すことが信頼感につながります。

ケース③「他社はもっと低いですよ?」と言われた場合

会話例:他社比較を提示された場合
面接官:「他の候補者は380万円くらいでご検討いただいているんですが……」
あなた:「貴重な情報をありがとうございます。他の方との比較はもちろん理解できます。ただ、私が420万円を希望する根拠は他の方との比較ではなく、私自身の市場価値と御社への貢献可能性をベースにしています。具体的には、○○の実績があり、入社後○ヶ月以内に△△で成果を出す再現性があると考えています。他候補との金額比較よりも、私が生み出せる価値でご判断いただけますと幸いです。」

このケースで絶対に避けたいのが、他の候補者と同じ土俵に乗ってしまうことです。比較軸を「他候補との比較」から「自分の価値」へと切り替えることが、このシーンでの最重要ポイントです。

「他の人は安い」と言われたとき、その比較に乗ってしまう方が本当に多いんです。でも実はそれ、相手の罠なんですよね。「私は私の価値で評価してください」と軸をズラせる人は、年収交渉にも強いですし、入社後も自分の意見をしっかり持って働ける人だと思われます。一石二鳥ですよ

第5章:【戦略】自分の「正しい市場価値」を特定するアクションガイド

「希望年収っていくらにすればいいか、正直よくわからない……」というのが、多くの方の本音ではないでしょうか。このセクションでは、4つのステップで提示額を論理的に導き出す方法を、実際に手を動かしながら進められる形でお伝えします。

ステップ① 現年収と最低ライン(生活防衛ライン)を出す

まず最初に確認したいのは、「いくらあれば生活できるか」という最低許容ラインを固定費ベースで算出することです。

項目 月額目安
家賃 80,000円
食費・日用品 40,000円
通信・光熱費 15,000円
交通費 10,000円
保険・積立 20,000円
合計(手取りベース) 約165,000円/月

手取り165,000円を額面に換算すると、おおよそ年収280〜300万円前後が最低ラインの目安となります(社会保険料・所得税を考慮した手取り比率を約75〜80%で試算した場合)。この最低ラインを下回る給与条件の企業は、他の条件がいくら魅力的でも慎重に判断することをおすすめします

ステップ② 市場相場を調べる(具体ツール付き)

最低ラインが出たら、次は市場相場との比較です。以下の4つを組み合わせると精度の高い相場感が得られます。

市場相場を調べる4つの方法

  • doda年収査定(https://doda.jp/):職種・年齢・スキルを入力すると相場レンジを表示。無料で利用できます
  • ミイダス(https://miidas.jp/):約18万人の転職データをもとに、自分の市場価値を偏差値で表示。スカウト機能で企業からのオファー年収も確認できます
  • ビズリーチのスカウト(https://www.bizreach.jp/):実際に届くスカウトの提示年収が、リアルな市場評価の”生データ”になります
  • 求人票のレンジ比較:同職種・同経験年数の求人を10件以上確認して、提示額の下限ではなく中間値を目指すことが現実的なターゲット設定の基本です

また、職種別の公的データとして、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」も相場の根拠として活用できます。「公的統計によると同職種の平均は○○万円です」と言えると、説得力が大きく増します

ビズリーチやミイダスのスカウトって、登録するだけで自分の市場価値が”見える化”されるんですよ。届いたオファーの年収提示レンジを3社分確認するだけで、相場感がかなりつかめます。転職するつもりがなくても、一度登録してみる価値は十分あると思います

ステップ③ 「希望額」と「最低許容額」を設定する

ステップ①②をもとに、2つの数字を必ずセットで決めておくことが大切です。

希望額:市場相場の中央値〜上位25%ライン=交渉のスタートライン
最低許容額:生活防衛ライン+α(キャリアアップ分)=絶対に譲れない下限

金額 役割
希望額 550万円 交渉のスタートライン
最低許容額 500万円 ここを下回ったら辞退を検討

この2本立てにしておくと、「550万円は難しい」と言われたときに「では500万円はいかがでしょうか」と自然に交渉を進めることができます。

ステップ④ 根拠を言語化する(面接用)

最後に、提示額の根拠を実績・スキル・再現性の3軸で整理しましょう。

根拠を言語化する3つの軸

  • 実績:「前職で○○を担当し、売上を前年比115%に改善」
  • スキル:「○○ツールの運用経験3年、チームリーダー経験あり」
  • 再現性:「御社の△△事業でも同様のアプローチで貢献できます」

この3点をA4用紙1枚にメモしておくだけで、面接本番でも落ち着いて話せるようになります。

ステップ⑤(補足):エージェントとの「答え合わせ」

市場相場を自分で調べ、根拠を整理したら、最後にエージェントと「答え合わせ」をするプロセスを加えることをおすすめします。「この金額は現実的か?」「この根拠で稟議が通るか?」を第三者に確認してもらうことで、独りよがりな提示額を避けることができます。

エージェントは単なる求人紹介役ではなく、あなたの市場評価を客観的に補正してくれる「第三者の視点」でもあるのです。

このワークフロー、実際にやると30分もかかりません。でも、やった人とやっていない人では、面接での”地に足のついた感”がまるで違います。特に第二新卒の方は、根拠があるだけで評価が一気に上がりますよ

第6章:2026年版・特殊状況下のサバイバル交渉術

年収交渉のベストタイミングを押さえる

給与条件の提示は「何を言うか」と同じくらい、「いつ言うか」が重要です。

年収交渉に最も適したタイミングは、最終面接が終わり、企業側から「内定を出す方向で」というシグナルが出た後です。

交渉のタイミング
一次・二次面接 → スキル・人柄を評価してもらう段階

最終面接 → 「ぜひ来てほしい」という意思が固まる段階

【ここが交渉のゴールデンタイム】

内定通知 → 条件提示・最終調整

まず「一緒に働きたい」と思わせてから交渉する——この順番を守ることが、成功確率を大きく高めます。

一次面接で年収交渉をしようとする方、たまにいるんですよね(笑)。まだ相手がこちらの価値をちゃんと見えていない段階でお金の話をしても、交渉カードとして全然機能しないんです。まず評価されてから交渉する、この順番だけは守ってほしいです

複数内定がある場合の「比較提示」の作法

複数社から内定をもらえた場合、それは最も強力な交渉カードになります。

正しい使い方
「他社からも内定をいただいており、○○万円のご提示をいただいています。御社への志望度が最も高いため、できれば同水準の○○万円でご検討いただけますと、入社の意思決定がしやすくなります」

❌ やってはいけない使い方:「他社の方が年収が高いので、そちらに行くかもしれません」

複数内定は「プレッシャーをかけるカード」ではなく、「自分の市場価値を証明するカード」として使いましょう。

すでに低い金額を伝えてしまった場合の「訂正の切り出し方」

「最初の面接で、焦って低い金額を言ってしまった……」という場合も、適切な切り出し方をすれば修正できる場合があります。

修正テンプレート
「先日、希望年収として○○万円とお伝えしましたが、改めて御社の業務内容と市場相場を調べ直したところ、私のスキルセットに対して低すぎる数字をお伝えしてしまったと感じています。再度ご相談させていただけますでしょうか。○○万円〜○○万円を希望させていただきたいのですが、いかがでしょうか。」

修正はできるだけ選考の途中段階で行いましょう。内定後のオファー提示後に「やっぱり違う金額に」と言い出すのは心証が悪くなりやすいため、早めの対応が肝心です。

現年収が低い場合の戦い方

現年収が低い場合は、「前職年収ベース」という発想から完全に脱却することが重要です。

現年収が低い場合の根拠の作り方

  • 職種相場を基準にする:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で同職種の平均年収を確認し、それを根拠として使う
  • スキル価値を前面に出す:「現年収は低いですが、○○スキルの市場価値は○○万円水準です」と主張の軸を切り替える
  • 「適正な評価をされていなかった」と伝える:前職の給与が低かった背景(中小企業・業界全体の水準など)を簡潔に説明する
回答例:現年収250万円 → 350万円を希望するケース
「現職の年収は250万円ですが、これは業界・企業規模の特性による水準であり、私のスキル自体の市場価値を反映したものではないと認識しています。厚生労働省の賃金統計でも同職種の平均は330〜360万円水準となっており、その相場感から350万円を希望させていただいております。」
現年収が低い方って、すごく損をしているケースが多いんですよ。「今の給料が低いから、転職後も低めにしなきゃ」と思い込んでいる方がいるんですが、それは完全な誤解です。市場価値はスキルで決まるものですから、相場をちゃんと調べて、堂々と希望額を伝えていいんですよ

やってはいけないNG回答5選(落ちる人の共通点)

正しい答え方を学ぶことと同じくらい、「何がNGか」を知っておくことは重要です。これらのNGを1つでも踏んでしまうと、それだけで選考落ちの原因になりかねません。

NG① 相場より極端に高い/低い

市場相場から大きく外れた提示額は、それだけで「この人は市場感覚がない」と判断されます。事前に厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で職種別の年収水準を確認しておきましょう。相場の±15〜20%の範囲内に希望年収を収めることが、現実的な目安だと言われています。

NG② 根拠がない

「なんとなく450万円くらいかな……」という感覚ベースの回答は、面接官からの信頼を損ないます。根拠として使えるのは「現年収+市場相場+自分の実績・スキル」の3点セットです。

NG③ 強気すぎる・受け身すぎる

強気すぎる例:「450万円以下なら入社しません」
受け身すぎる例:「いくらでも構いません、お任せします」

理想は「提示額を明示しつつ、ご相談の余地もあります」という、自信と柔軟性を両立させた姿勢です。

強気と自信は違うし、謙虚と受け身も違います。この4つをごっちゃにしてしまっている方が本当に多い。数字をちゃんと言って、でも「相談できます」を添える——それだけで、面接官の印象がガラッと変わります

NG④ 嘘の年収を言うリスク

多くの企業では内定後に源泉徴収票の提出を求めます。虚偽の申告が発覚した場合、内定取り消しや懲戒処分の対象になるケースもあると言われています。嘘は百害あって一利なし、ということを忘れないでください。

NG⑤ 柔軟性ゼロ

「550万円が絶対条件です。1円も下がるなら辞退します」のような完全固定の伝え方は、企業側に「交渉の余地がない人」という印象を与え、選考が打ち切られるリスクを高めます。

柔軟性を示す言い回しの例
「550万円を希望しておりますが、給与条件については総合的に判断したいと思っておりますので、ご相談の余地はございます」

数字を示しながら扉を開けておくことが、誠実さの表れです。

このNG5つ、正直どれも「やりがち」なんですよ。私が担当してきた方でも、最初の面接でどれかひとつは踏んでいた、というのはよくある話です。だからこそ、事前に知っておくだけで同世代と大きく差がつきます。面接の前にもう一度このリストを見返してみてください

まとめ|希望年収は「交渉」ではなく「市場価値の証明」

長い記事をここまで読んでくださり、ありがとうございました。この記事でお伝えしてきたことを、最後に3点に凝縮します。

① 根拠:現年収・市場相場・自分の実績とスキルを組み合わせて、「なぜその金額か」を論理的に説明できる状態にする
② タイミング:最終面接後〜内定前のゴールデンタイムを狙い、評価が固まってから交渉に入る
③ 相手:人事担当者が「社内で稟議を通せる材料」を渡す意識を持ち、交渉のキーパーソンに届く言葉を選ぶ

マイナビの「転職動向調査2026年版(2025年実績)」によれば、転職後の平均年収は転職前より19.2万円増加しています。また2025年春闘では、賃上げ率が5.25%と34年ぶりの高水準を記録しました(連合「2025年春季生活闘争最終集計」)。

この追い風のある今、遠慮して低めの給与条件を受け入れ続けることは、本来つかめるはずのチャンスを自分で手放すことになります。相場を調べ、根拠を持ち、自分の価値に見合った数字を提示することは、自分を正当に評価する最低限の誠実さです。

もし「自分の場合はどうすればいい?」と迷ったら、一人で抱え込まないでください。私たちエージェントは、まさにそういう相談のために存在しています。この記事で学んだことを持って、気軽に話しかけてきてください。一緒に考えましょう

この記事が、あなたの転職活動の「お守り」になれば嬉しいです。準備を重ねて、心から納得のいく一社に出会えることを、心より応援しています。

参考データ出典一覧

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高祖 広季 代表取締役
「社会の見方を変える会社でありたい。」 私たちは、「社会の見方を変える会社」でありたいと考えています。 空き家を“問題”ではなく“資源”として、人材を“商品”ではなく“可能性”として。 一人ひとりが新しい視点を持てば、社会の停滞は動き出し、課題はチャンスに変わります。 ウィントランスの事業は、そうした“見方の転換”を形にすることです。 不動産、人材、地域、DX――分野は違っても、目的はひとつ。 「社会の仕組みを、より良い方向に作り変える」こと。 変化を恐れず、スピードをもって挑戦し続ける。 私たちは、そんな小さな変化の積み重ねから、社会の大きなうねりを生み出していきます。 そして、その挑戦の連鎖を次の世代へとつなげていくことこそ、私たちの使命です。 事業を通じて、人が成長し、地域が活性化し、社会が少しずつ前に進む。 そんな“循環する社会”をつくるために、ウィントランスはこれからも新しい価値の創造に挑み続けます。

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